静岡県「大淵笹場」の富士山と絶景スポットでお茶摘み体験&自宅でお茶づくり体験レポート

観光

はじめに

静岡県の富士市大淵地区にある、富士山の絶景と広大な茶畑の素晴らしい風景が広がる「大淵笹場」をご存知だろうか?

今回、2022年5月から放映の有村架純が出演する「お~いお茶」のCMでも利用されたこのロケ地に、なんど伊藤園の茶畑トリップに招待されたので行ってきた

「大淵笹場」でのようすやお茶摘み体験と、摘んだ茶葉を持ち帰って自宅で乾燥・茶葉の作成をした実体験をレポートする。

自宅で茶葉を栽培したり、お茶を淹れられる状態にするための準備をする方の参考になればと思う。

「大淵笹場」について

静岡県富士市の大淵というエリアにある、富士山と茶畑の絶景の競演が楽しめる「大淵笹場」。

茶園と富士山という静岡県らしさを存分に楽しめるこのスポットは、その景観にふさわしく、電線や電柱が一切入らない景色となっている。

通常の茶畑は、防霜ファンという、4~5月の気温が安定しない寒い朝などに新芽に霜がつかないよう畑全体に送風・換気をする扇風機が何本も立っている。

しかし、この広大な茶畑に、それは一切みあたらない。この景色は、日本でもかなり数の少ないスポットとなっているのだ。

ちなみに、有村架純が出演する「お~いお茶」のCMでキャストが立ったロケ地にも印がついており、その位置まで進んで写真を撮っていただけたのはよい思い出となった。

「大淵笹場」のアクセス

アクセスとしては、東名高速の「富士IC」新東名「新富士IC」から車で約10分だ。

詳細は富士市の公式サイト(https://www.city.fuji.shizuoka.jp/machi/c0504/rn2ola000000dvpa.html)にも案内があるので参考にされたい。

「一芯二葉」でぜいたくな新茶摘み体験を満喫

「一芯二葉」「一芯三葉」とは?

茶摘みというと、よく「一芯二葉」「一芯三葉」ということばを耳にする。

今回、筆者が体験した茶摘みでは新茶の季節でもあることから「一芯二葉」での茶摘みとなった。

お茶の枝の先にはやわらかくデリケートな芽である「芯」があり、その下に、互い違いに葉がある。

この芯とその直下の2枚の葉の部分をまとめて「一芯二葉」という。
葉も芽も生えたてで、新茶ならではのとても甘くておいしいお茶になる。
なお、さらにその下にあるもう一枚の葉も含めると、茎の体積も増えるので収穫量は倍増する。
この収穫を「一芯三葉」というようだ。

お茶摘み体験の流れ

お茶摘み体験の発端となったツアーの全体像は別途記事にまとめるので割愛するが、今回のお茶摘み体験は行程の都合上10分くらいで意外と大急ぎで体験したかたちとなった。

お茶の収穫開始! 服装には要注意

まずは現地の方から、上記のような一芯二葉での摘み方をレクチャーいただき、いざ茶畑に突入。

写真をみるとわかるが、木と木の間はほぼ密着しており、そこをカニ歩きのようなかたちで進んでいく。

もし読者の方も体験される場合は、汚れても良い服装は必須だ。

また、雨上がりなどの場合はさらに濡れるのでご注意。

一芯二葉を意識すると意外と難しい

見た目はたくさんの葉があるが、大きすぎず小さすぎず、虫に食われていないきれいな葉を探すのは意外と苦労した。

一芯二葉を意識して葉を探しながらいろいろな葉を触って確かめてみると、やはり芽が出たてで瑞々しい芯と葉は、とても柔らかい。

ゴリゴリに大きくなった濃い葉はイメージ通り苦いらしく、柔らかいものは新茶ならではの旨味と甘味があるのが伝わってくる。

収穫完了!

意外ととれなかった筆者は初めての茶摘み体験に興奮し、茶畑や茶摘みのようすを写真や動画に収めることに気を取られ、意外と時間がなくなってしまった。

収穫用に配布されていたビニール袋はすぐいっぱいになるだろうと侮っていたが、ちゃんとレクチャーどおりに美味しそうな葉を選んでいると、全然獲れないので、ペース配分にも注意だ。

どんどん収穫に徹した妻の収穫量のほうが、筆者の少量のお茶より圧倒的に多かった(笑)

売店で新茶・煎茶・紅茶の試飲をいただきつつ、お土産のお茶も購入

あっという間に初のお茶摘み体験が終わったあとは、大淵笹場の売店でお土産タイム。

写真は撮りそこねたが、言うまでもなく大淵笹場でとれたお茶を販売していたり、試飲をさせていただけたりした。

今年収穫された新茶、昨年収穫されたがしっかり倉庫で万全の品質で眠っていた去年のお茶(煎茶としてお得商品として販売されていた)、そして紅茶の3種類を試飲できた。紅茶といえばよくセイロンやらウバやら聞くが、もとは同じお茶であって、発酵工程が入るかどうかの違いということを思い出す。

新茶と煎茶をお土産に購入し、帰って飲み比べることにした。でも新茶だろうが煎茶だろうが、ここ大淵笹場でとれたお茶なら美味しいに違いない。

実際に自宅で緑茶に加工! 手順とようすを写真付きで紹介

さて、自宅でさっそく生茶葉から、各工程を経て乾燥・急須でいただくまでの全行程を実施した。

伊藤園さんから、その工程をわかりやすく示された冊子をいただいたので、その内容に従って、いざ実践!

蒸熱

収穫したての茶葉は、時間が立つと酵素のはたらきで成分が変化してしまい、本来の味が担保できなくなるとのこと。本来のお茶屋さんなら専用の機械で実施するが、自宅では大皿に広げてラップをし、電子レンジで600Wにて1分30秒チンすることで実施した。

チンしたあとは、蒸気もこもり、お皿がだいぶ熱くなっているのでご注意。

ラップをあけると、たくさんの蒸気とともにお茶の瑞々しい香りが部屋じゅうに広がり、とてもここちよいひとときだった。

とれたての茶葉の香りを感じることは日常生活でなかったので、それだけで十分に感動した。

冷却

チンした茶葉たちは、キッチンペーパーのうえに移し、うちわで扇ぎながら葉の水分を飛ばしてあげる。

冷めたら、新しいキッチンペーパーに移し、水分をどんどん吸収させていく。

乾燥と手揉み

冷却工程で十分水分を除去できたら、ホットプレートの出番だ。

フライパンでもできるそうだが、茶葉を乾燥させるための加熱なので、まんべんなく緩やかに加熱できるホットプレートがおすすめだ。

1ターンあたりの手順

まずは茶葉を、弱火~中火設定のホットプレートにあける。筆者の場合は、 その設定でもいきなり「ジュー」と焼き肉のような音がして一部焦げかけたので、水分が最も多い最初の火力は十分ようすをみて加熱することをおすすめしたい。


ほぼ保温に近いような低音で、菜箸でまんべんなく動かしながら、水分を乾燥させる意識で10分ほど加熱し続ける。

少し縮れてきたのがわかる。

続いて、キッチンペーパーの上にあけて、手揉み工程だ。

水分が多いうちは強く揉まないのがコツらしく、筆者は恐る恐る揉むのであった。

手揉みは5分間がめやすだ。


そして揉み終わったら、さらにこの項目の加熱から、3周繰り返す。

合計4セット。

加熱10分、手揉み5分で4セットなので、この工程だけで60分必要だ。

2ターン目のようす

さらに縮れてきた。

徐々に香ばしい香りが漂ってくる。完成が楽しみだ。

3ターン目のようす

徐々にパリパリになってきている。

このあたりから、揉むという定義に疑問を呈しはじめる筆者と家族一同。

ここまでパリパリになったものを揉んだら、粉々になってしまう…

しかし市販のお茶っ葉は粉々なので、問題ないのか……?

いや粉々にしすぎてから後悔するのでは遅すぎる。

恐る恐る、そっとパラパラ撫でるように愛でるのであった……。

4ターン目のようす

だんだん乾いてきて、揉み工程もパリパリサクサク、いい音が聞こえてきた。

あおさのような見た目で、そのままお味噌汁などにも淹れたくなる見た目だ。

なお筆者の場合は恐る恐る揉んでしまったのでほぼ葉の原型が残ってしまっているが、おそらく本来はセットが進むにつれてさらに強く揉み、もうすこし粉々になるくらいがちょうどよかったのかもしれない。

最後の揉みは、少し強めにして、市販の茶葉のイメージに近づけるようにした(笑)

最後に乾燥

加熱&手揉みの60分が完了すると、次は乾燥だ。

ホットプレートの上にキッチンペーパーを敷き、「保温」モードで15分ほど乾燥させる。

この工程に入る段階では、葉の部分はパリパリだが、ごく一部、茎のあたりがまだ湿っているような部分があった。

そのような部分も徹底的に乾燥させる意識をもつと、確実に乾燥工程を完了させられるのだろう。

自身でお茶摘みした新茶を実飲!!

どうせ飲むなら、本来の市販されているお茶と飲み比べもしたかったので、同時に購入した大淵笹場の「煎茶(2021年収穫)」も同時に淹れた。

淹れてみた結果、以下のようになった。

商品の煎茶

  • 色が濃い。
  • 多少粉が沈んでいる。
  • 香りが強く、渋さを感じる。おばあちゃんちで香っていた、いつもの緑茶の香り。
  • 飲んでみると締りのある苦味と香りで、緑茶のイメージどおりの味。

茶摘み体験した新茶

  • 色が薄い。揉みが弱く細かくならなかったので、葉の表面積が小さかったことも原因かもしれない。
  • 粉はまったく沈んでいない。
  • 香りは瑞々しく、渋さがない。
  • 飲んでみると苦味がとても少なく、甘みが強く飲みやすい。たまたま薄くなってしまったせいもあるだろうが、緑茶本来の苦味に苦手意識がある人には案外飲みやすいかもしれない。

さいごに

東京生まれ東京育ちの筆者は、小田原に移住するまで、恥ずかしながら茶畑がどんな姿でどんな場所にあるかも考えたことがなかった。

小田原でよく茶畑を見かけるようになり、お茶がどうやって生産されているかを意識し始めた。

そんな矢先に、伊藤園の茶畑トリップに招待いただけたことで、憧れてもあったお茶摘み体験もできたし、実際にお茶の由来や工程、そして美味しさを改めて味わうことができた。


今回の記事では、静岡県富士市の「大淵笹場」での体験をお届けしたが、じつは当日袋井市(掛川茶でも有名な掛川市のほう)にある「ふじのくに茶の都ミュージアム」などにも訪問し、お茶に関する多様な体験をすることができた。

この伊藤園茶畑トリップの全貌は、別途まとめてご紹介したい。

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