※実際に筆者が1年間、小田原駅から東京駅まで新幹線通勤をした経験から、実体験を通して得たメリットとデメリット、金額やコスパをありのままにお伝えします。
移住を検討の方や、通勤時間に悩みのある方、より快適な通勤方法をご検討の方にお役立ていただけると思います。
【2022/06/10大幅更新】
関東圏で都外から都内への新幹線通勤をご検討の方のため、JR東日本を含め、都内から各県への新幹線通勤定期代や所要時間、新幹線通勤代の補助が出る自治体などの情報も追加しました。
これを読めば、どの記事よりも基本情報と新幹線通勤のイメージが湧き、実際の皆さまの参考になることをめざしています。
1.新幹線通勤をしてまで小田原に移住した経緯
筆者は東京の新宿区で生まれ、豊島区や練馬区でも暮らして28年。
中学、高校時代も、新宿や池袋などが遊びの拠点。
大学生や社会人になっても、渋谷で勤務しており、「東京」は自身の人生で「当たり前」の28年間でした。
幼少期より、新宿の高層ビルや東京タワーなどに連れて行ってもらった影響か、高いビルが大好きです。
数年前になくなってしまいましたが、「三角ビル」という愛称で有名な新宿住友ビルの51階にあった展望スペースは、社会人になってもぶらり立ち寄る息抜きスポットでした。
新卒時は渋谷勤務でしたので、仕事帰りには新宿に立ち寄って、羽田空港を飛行機がホタルのように飛び交う夜景を、「東京、最高だわ~」と眺めていたものです。
そんな筆者がなぜ、「神奈川県」しかも西部の「小田原市」に移住したのか。
それは2019年の結婚が機でした。
それはまた別の記事で詳細(?)をご紹介するとしまして(笑)、
本題に参りましょう。
2.新幹線って定期券はあるの?どうやって使う? 補助金もでる自治体もあり
2-1.小田原から東京に通勤した私の場合
私が使っていたのは東海道新幹線の「FREX(通勤用)」を利用していました。
参照:JR東海「新幹線の通勤・通学」
通勤用のこれと、通学用の「FREXパル(通学用)」があり、どちらも1ヶ月用と3ヶ月用があります。
私の場合は、東京~小田原で3ヶ月ずつ購入していましたので
3ヶ月定期で210,710円でした。
一見、定期券とはいえ「めちゃ高ぇw」ですよね。しかし、新幹線の片道を通常購入すると3,610円かかります。
1日往復で7,220円。1ヶ月20日通勤したとしたら、3ヶ月で433,200円。
通常料金の半額以下なんです。
さらに、私の場合は、新幹線通勤は会社に申告したうえで利用していましたが、当然自己都合でしたので、在来線分は支給してもらい、新幹線特急券代分は自腹でした。
在来線分の定期券は3ヶ月で114,150円。新幹線定期券との差は96,560円。
1ヶ月あたり、自腹分は32,000円ほど追加することで、新幹線で通勤することができました。
とはいえ、月に3万も自腹は高い!
と思う方も多いと思います。
なぜ、それを受け入れられたのかといいますと、ズバリ「家賃が東京よりはるかに安い」からでした。
結婚前は、東京都練馬区で1Kのお部屋で9万円強の家賃。
結婚後は、3DKで5万円後半の家賃。
面積が3倍近くなったのに、新幹線定期代の自腹分を考えても、東京の1Kのお部屋9万より、
3DKに住んで新幹線代3万を上乗せしたほうが、家賃が安いというわけです。
練馬からの通勤時は、西武池袋線や東京メトロ有楽町線・副都心線直通、都営大江戸線もあり都心へのアクセス抜群でしたが、なにぶん遅延が多い。ドアtoドアで1時間ほどかかるときもありました。
しかし、小田原でも、東京駅まで乗車時間はわずか30分ほど!
後述のメリットを享受しながら、家賃も安く、ストレスフリーな通勤を実現できたのでした。
蒸し暑く、いつ喧嘩が起きてもおかしくないギスギスした満員電車には、もう乗る気はありません。
ちなみに小田原市ではだいぶ以前、一時的に新幹線通勤への補助があったときもあるようですが、現在はありません。
2-2.東京に新幹線通勤する場合、補助金が出る自治体はこんなにある! 埼玉、群馬、栃木、新潟、長野まで!
実際に新幹線通勤といっても、コストがかかるのは確か。
しかし、役員でもない限り、軽率に会社に「新幹線通勤定期券代を出してください」と依頼することも困難です。
しかし、あきらめるのは早いのです。
自治体が、移住者を歓迎し、都内への通勤をサポートしてくれる市町村が意外とあるんです!
以下に、各県ごとに補助がでる自治体をわかりやすくご紹介。
2-2-1.埼玉県
東京駅までの所要時間 | 東京駅への始発 | 東京駅からの終電 | 1ヶ月あたりの補助金と補助を受けられる期間 | 1ヶ月の新幹線通勤定期券価格 | |
埼玉県熊谷市 (JR東日本 「熊谷」駅) | 約39分 | 06:34発 07:12着 | 23:00発 23:37着 | 最大2万円、2年間 | 71,260円 |
埼玉県美里町 (JR東日本 「本庄早稲田」駅) | 約50分 | 06:27発07:16着 | 23:00発23:48着 | 最大2万円、3年間 | 81,130円 |
2-2-2.栃木県
東京駅までの所要時間 | 東京駅への始発 | 東京駅からの終電 | 1ヶ月あたりの補助金と補助を受けられる期間 | 1ヶ月の新幹線通勤定期券価格 | |
栃木県小山市 (JR東日本 東北・山片・秋田新幹線 「小山」駅) | 約43分 | 06:22発 07:04着 | 22:44発 23:25着 | 最大1万円 | 74,826円 |
栃木県那須塩原市 (JR東日本 東北・秋田・山形新幹線「那須塩原」駅) | 約73分 | 06:12発 07:20着 | 22:44発 23:52着 | 最大1万円 | 125,516円 |
2-2-3.群馬県
東京駅までの所要時間 | 東京駅への始発 | 東京駅からの終電 | 1ヶ月あたりの補助金と補助を受けられる期間 | 1ヶ月の新幹線通勤定期券価格 | |
群馬県沼田市、 群馬県みなかみ町 (JR東日本 上越新幹線「上毛高原」駅) | 約66分 | 06:22発 07:36着 | 22:28発 23:41着 | 沼田市:2万円 みなかみ町:3万円 | 103,300円 |
2-2-4.新潟県
東京駅までの所要時間 | 東京駅への始発 | 東京駅からの終電 | 1ヶ月あたりの補助金と補助を受けられる期間 | 1ヶ月の新幹線通勤定期券価格 | |
新潟県湯沢町 (JR東日本 上越新幹線「越後湯沢」駅) | 約79分 | 06:08発 07:36着 | 22:28発 23:54着 | 最大5万円 | 144,033円 |
2-2-5.長野県
東京駅までの所要時間 | 東京駅への始発 | 東京駅からの終電 | 1ヶ月あたりの補助金と補助を受けられる期間 | 1ヶ月の新幹線通勤定期券価格 | |
長野県佐久市 (JR東日本 北陸新幹線「佐久平」駅) | 約86分 | 06:28発 07:42着 | 22:08発 23:30着 | 最大2.5万円 | 128,516円 |
2-3.番外編・お子さんの通学向けに貸与型の補助も!? 静岡県静岡市
東海道新幹線「静岡」駅が位置する静岡市は、通勤向けではないが、子どもの通学向けに、「貸与型」で給付を行うユニークな制度もあります。
卒業後もすみ続ける場合は優遇もあったりと、静岡市でお子さんのいる家庭は要チェック!
静岡駅(新幹線「通学」のみ、かつ「貸与」型)
東京駅までの所要時間 | 東京駅への始発 | 東京駅からの終電 | 1ヶ月あたりの補助金と補助を受けられる期間 | 1ヶ月の新幹線【通学】定期券価格 | |
静岡県静岡市 (JR東海 東海道新幹線「静岡」駅) | 約70分 | 06:22発 07:36着 | 22:12発 23:22着 | 最大3万円 | 93,650円 |
3.新幹線通勤をする7つのメリット
結論として、次の7つのメリットがありました。
- 100%座って通勤でき、30分で東京駅着。満員電車とは無縁。
- Wi-Fi使い放題。
- 快適なトイレが車内十分にあるので、お腹の弱い方も不安ゼロ。
- 贅沢な自分の時間でオンオフのリセットタイムを手に入れられる。
- お家で朝食を食べそこねても、ご飯を食べられる。
- (コロナ禍以降)密を避けることができた。
- 遅延が驚くほど少ない&在来線より災害に強い
3-1.100%座って通勤でき、満員電車とは無縁。
小田原駅8時台発の上り「こだま」は100%座れるのです。
さらに、「こだま」と聞くと本数が少ないように見えますがなんと朝は約10分に1本小田原駅に停車!!
他にのぞみやひかりもハイペースで並走するなか、東海道新幹線の各駅停車であるこだまが1時間に6本くらい停まってくれるんです。
JRや私鉄では有料座席指定列車が流行していますが、毎朝券売機に並んで30分に1本くらいの特急を血眼で抑える日々を送っている人々がいるなか、いつでも新幹線に乗れる定期券を持っているだけで、10分に1本空席のある上質空間の新幹線に乗り放題とい考えると、本当に贅沢だと思いましたよ。
当初は「ほぼ誰も気づいていないライフハック」というような気分で、こっそり調子に乗っておりました(笑)。
横須賀線や湘南新宿ライン「武蔵小杉駅」周辺で在来線と並行するのですが、ホームにあふれる通勤客と、パンパンに窓に押しつぶされている乗客を積んだ電車と並走したときは、なぜかこちらがゆったり通勤していることに罪悪感を感じるくらいでした。
なお、こだまは東京駅側が比較的空いており、隣の席に人がくることはほぼありませんでしたので、
隣の席がいつも空席の状態でゆったり座ることができていました。
3-2.Wi-Fi使い放題。
東海道新幹線N700Aでは、ほぼすべての車両に車内Wi-Fiがあり、利用開始時に簡単なユーザー登録をすることで、車内でインターネット接続することができました。
トンネル内でも速度はそこそこ出ており、YouTubeなどの動画や映画、ドラマなどを観て過ごすこともできました。
シートはリクライニングですし、もはや家のベッドでゴロゴロしているのと同じくらい寛げました。
3-3.快適なトイレが車内十分にあるので、お腹の弱い方も不安ゼロ。
これも本当に家にいるような安心感だったので本当にありがたかったです。
通勤時の満員電車でトイレに行きたくなったときのあの焦り、本当に嫌ですよね。
しかも駅で降りてトイレに駆け込んでも行列で絶望。筆者は特にお腹が弱いわけではないのですが、二度と味わいたくないと思いつつも、そんな焦りを何度か味わったことがあります。
この不安が増長し、本当に悩みながら精神的に参ってしまう過敏性腸症候群などでお悩みの方も多いと思いますが、そんな方にも本当に救世主になるのでは、と思うくらい、車内にトイレがたくさんある安心感を味わえる新幹線通勤はおすすめです。
だいたい、2両ごとに1箇所、大が2つ、小が1つくらいのペースで配置されています。
万が一近くのトイレが満室マークが点灯していても、車内には10個以上の個室があるはず!
1両あたりの客数から考えると、同時に1編成全体のトイレが満室になることはそうないわけで、埋まっていたら他の車両に行けばよいだけ。そう思えるだけでも心が救われる方は多いのではないでしょうか。
なお、比較的新しい車両にはウォシュレットも完備されていますし、洗面台は液体石鹸も完備。
簡単なお化粧直しや顔のお手入れにも活用できる仕切りカーテンもあるので、ホテルのような快適な空間で過ごすことができるのです。
3-4.贅沢な自分の時間でオンオフのリセットタイムを手に入れられる。
朝もそうですが、特に仕事帰りの夜は、たまらなくリフレッシュタイムを味わうことができます。
朝に比べて通勤で帰る客は、18時前後は車両によっては満席になることもありますが、私の場合は19時以降~終電近くに帰ることが多かったので、隣はもちろん後ろの席も空いていることもしばしば。
ときには思いっきりリクライニングを倒し、ベッドのようにうとうとしたり、駅弁や大丸のデパ地下グルメとビールを広げて旅行気分で帰ったりと、本当に通勤時間が楽しいものとなりました。
仕事のピリピリモードを緩やかに開放して、オフの時間へどいざなってくれる新幹線通勤の至福のひとときは、ぜひ皆さんにも味わってほしいものです。
ちなみに、東京発の終電は22時50分頃(終着は三島駅)だったので、だいたい22時半過ぎごろまで東京駅近辺で飲食しても新幹線で帰ることが可能です。
3-5.お家で朝食を食べそこねても、ご飯を食べられる。
人によっては、朝ギリギリまで寝たい! 朝ごはんは会社で食べる! というような方もいると思います。
新幹線通勤であれば、テーブルを引き出してコーヒーやパンをゆったり食すことも可能です。(朝7時台は満席になることが多いので、空気を読む必要がある場合はあります。私の場合は8時台でしたのでゆったりできました)
3-6.(コロナ禍以降)密を避けることができた。
こちらは当初想定していなかったのですが、2020年にはいってから徐々に猛威をふるい始めた新型コロナウイルスの影響で、テレワークが推奨されたことで、新幹線通勤客も一時激減していました。
当時の筆者の会社は、それでも出社するような環境でしたので通勤しましたが、1車両に2,3人しか乗っていない時期もありました。
在来線は比較的、テレワークが推奨されても満員の状況が緩和されないと悲鳴が上がっていましたが、新幹線内はまるで別世界でした。
おかげで、密も回避しながら通勤でき、思わぬメリットではなかったのかと思います。
3-7.遅延が驚くほど少ない&在来線より災害に強い
新幹線通勤のメリットを書き出すとまだかなり出てきますが、
特に書いておきたいのは以下2つです。
・台風や災害時に在来線より早く復帰
→2019年の台風で在来線が朝から全ストップのような状態のときでも新幹線がいち早く再開し、都内に住んでいる誰よりも、小田原から通勤している私が会社に先に着いてしまうという事態がありました(笑)。
・遅延がほぼゼロ
→新幹線の運転制度が高いのは言うまでもなく、実際に何十分も遅延したのは2年弱のうち3回程度でした。
4.新幹線通勤をする3つのデメリット
4-1.地域によっては時間がかかる
私の場合は、小田原駅近辺に住まいがあり、東京駅近辺に会社があったので、たまたま東海道新幹線を有効活用できました。
しかし、例えば東京都の板橋や池袋、新宿など城西エリアの会社で東京駅や品川駅とのアクセスに時間がかかる場合は、小田原駅や熱海駅などから通勤するにはしんどいかもしれません。
ただ、「新横浜」からであれば、10分前後で品川駅や東京駅までアクセス可能ですので、そこから先の会社への通勤は苦にはならない可能性もあります。
4-2.移動時間や時間あたりの生産性を最重要視する人には向かない
「職住近接」という言葉がありますが、会社から徒歩圏内や1,2駅に住まいを構えるべきだ! という考え方の人には向かないと思います。新幹線内では仕事も可能ですが、そのような方の場合は、そもそも通勤時間自体に意味を見いだせないと思いますので、コストは掛かっても仕事のしやすいエリアを選ぶことをおすすめします。
4-3.一人暮らしで新幹線通勤には向かない
先述のように、3DKのマンションでも5万円台で快適に暮らせてしまう小田原エリアですが、例えば都内で一人暮らしている若手や新社会人が、家賃の節約のために小田原に移住する、ということは少し考えにくいと思います。
同期とのつながりなども都内のほうが保ちやすいですし、一人暮らし向けであれば質は下がってしまうかもしれませんが都内でも見つけやすいと思います。まずは都内で生活の基盤や一生モノの人脈を作り上げて、安定や結婚の時期になったら地方でまったり居を構え、仕事もプライベートも充実させるのがよいかと思います。
5.交通費の支給は会社による
新幹線代は、特急で有料座席指定列車などのように、必須の交通費に+αのサービスとして購入するサービス料のようなもの。
多くの会社では、もともと新幹線通勤を想定した配属は少なく、新幹線通勤を強いられるような場合は、そもそも転勤などが発生するケースが多いだろう。
したがって、これらの特急料金、新幹線代、有料座席列車の利用料などは自費で購入することが多い印象だ。
筆者もそうだったが、新幹線通勤をすること自体は、会社に事前に相談しておくことをおすすめする。
万が一、通勤途上でなにかあった場合や、会社が支給する在来線とのルートが変わる場合もあるので、通勤経路の扱いが不透明になり労災が適用されないなどの懸念もあるで、事前にお互いクリアにしておくと安全だ。
6.まとめ
「新幹線通勤」と聞くと、雲の上の話でよくイメージがわかなかったり、時間やお金の無駄と感じる方も少なくないと思います。
現に、筆者も人に話すとびっくりされますし、「なんで?」とよく聞かれました(笑)
ただ、そのたびに、今回記載した「メリット」と「デメリット」を伝えるのですが、たいがい、「へえー!」というかたちで、驚きつつも共感をいただきながら羨ましがられることも多いです。
これまでの「満員電車の我慢」や「通勤のストレス」などの「当たり前」を打破し、全く違う角度から通勤のあり方を考え直してみると、意外と面白い暮らしや人生が見つかるかもしれません。
今回は、「通勤」にフォーカスして「小田原移住ライフ」をお伝えしてみました。
今後、実際の暮らしや漁港が近いという特権(?)をもつ小田原市民の食生活などもどんどんご紹介していこうと思います。
ぜひご覧ください!